大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(う)2543号 判決

被告人 土井得三郎

〔抄 録〕

本件控訴の趣意は、末尾添附(省略)の検察官田中良人作成名義の控訴趣意書と題する書面記載のとおりであつて、これに対する答弁は末尾添附(省略)の弁護人作成名義の答弁書と題する書面記載のとおりである。

ところで、牽連犯の如く犯罪の手段若くは結果たる行為にして他の罪名に触れる場合と想像的競合犯の如く一個の行為にして数個の罪名に触れる場合とを問わず、その証拠物件を没収するが為めには、当該物件が何れかの犯罪に関係し刑法第一九条第一項若くは没収に関する他の法令に該当するを以つて足り必ずしも重き罪との関係において没収することを得るものたることを要さないものと解するを相当とする。然るに本件において所論指摘の原判示第二の被告人の各行為はそれぞれ一個の行為で関税法違反の罪と物品税法違反の罪との二罪に触れるものであるから刑法第五四条第一項前段に則り犯情の重い物品税法違反の罪の刑をもつて処断すべきことは原判決認定のとおりであるが、重い罪について沒収又は追徴することを得るもののない場合でも軽い他の罪に沒収又はこれに替えるべき追徴の規定があるときはこれを附加し得るは当然である。

本件において重い物品税法違反の罪には特別に必要的没収又は追徴の規定はないが、軽い他の関税法違反の罪には特別に必要的没収又は追徴の規定が存するのであるから本件カメラの原価に相当する金額を被告人から追徴しなければならないこと洵に所論のとおりである。然るに原判決は被告人から外国製カメラ合計十一台の原価に相当する合計二八万三三八四円を追徴しなかつたのであるから此の点原判決は各法条の解釈を誤り法令の適用を誤つたものと謂うべく、到底破棄を免れない。

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